『今さら聞けない 福島第一原発事故 5つのウソ』(烏賀陽弘道・著)を読んでみた

カテゴリーは「書評」ですが、評論することは難しいので書籍の「紹介」です。

『今さら聞けない 福島第一原発事故 5つのウソ』が2026年2月24日(第1版)に発売されました。

著者の烏賀陽弘道さんは、元朝日新聞の記者で、今はフリーのジャーナリストとして活動されています。

2011年3月11日の福島第一原発事故後、頻繁に福島に取材に出かけて、事故の現段階や避難された方々の様子・実態などを発信してきた数少ないジャーナリストです。

烏賀陽弘道さんは原発に賛成でも反対の立場でもない

えっ!と思われる方もいらっしゃると思いますが、烏賀陽弘道さんは原発に賛成でも反対の立場でもありません。

あくまでも、事実を伝え、読者に届けて判断は読者に行なってほしいという立場です。

ですから、烏賀陽さんの著書を見ても原発への「立場」というものは記載されていません。

この立場で本書も書かれています。

「5つのウソ」とは

「はじめに」で烏賀陽さんは

被害地や被害者が今どうなっているのか。ちゃんと知りたい。

発生から15年も経って、記憶が曖昧になってきた。

「復興」「除染」「廃炉」など論点が多すぎてどれがどこまで進んでいるのか把握しきれない。

などなど、読者の疑問や関心ごとを取り上げ、読者の疑問・質問に応えるのが本書であることを明らかにしています。

そして5つのウソとして以下の項目を挙げています。

第1章 地元は「復興」しているのか?

第2章 避難者は減ったのか?

第3章 空間線量が下がれば安全なのか?

第4章 2051年までに廃炉できるのか?

第5章 福島だけが問題なのか?

詳しく、あまり詳しくなく本書を紹介

 

 

第1章は、「復興」しているのか?という論点です。

「復興」の定義を考え明らかにして、その上で「復興」しているのかどうかを検証します。

本書を読むと、地元のためではなく、政府や東電が自分たちの都合で「復興」していることをアピールするために国策として進めていることが明らかにしています。

例えば、東京五輪に間に合わせるため。

「復興」をアピールするためにあらゆる宣伝できる材料を使うなどなど、地元民そっちのけで行なっています。

第2章は、「避難者は減ったのか?」という論点です。

政府は、避難者の定義を変えてでも「減った」かのように見せかけています。

また、故郷に戻らない理由なども含めて実際に避難している人を取材した事実を発信しています。

第3章は、空間線量の問題。

空間線量が下がれば安全なのか?という論点です。

これまた線引きは政府の都合の良いように取り決めがされていること。

リスクさえ知らされない住民がいることを暴いています。

第4章は、2051年までに「廃炉」できるのか?

結論は「できない」です。

私も本書を読んで、「2051年までの廃炉」は無理筋だと思いました。

「廃炉」の定義がないことや、デブリ(溶け落ちた燃料棒)の取り出しのスケジュールが遅れに遅れている、などなど。

よくもまあ、「廃炉」にすると言えるもんだなあ、現実離れをしていると思いました。

第5章は、福島だけが問題なのか?です。

福島第一原発事故だから福島「だけ」の問題とされかねません。

しかし、中間貯蔵施設や最終処分場の問題は、福島だけにとどまりません。

また、福島第一原発付近を通過する列車が首都圏まで放射性物質を運んでいるという事実に驚きました。

決して、福島だけの問題ではありません。

政府・東電は嘘っぱちを振りまいている

こうして本書を読んでみると、政府・東電は嘘っぱちを振りまいているということがわかります。

都合の良いように、「復興しているようみ見せかけ」「避難者の定義を変え」「内部被曝を無視して」「出来もしない2051年までの廃炉を目指す」「福島だけにとどまらない放射性物質」がまかれている事実をねじ曲げています。

おわりに

私は、原発については、人間の手に負えないものを作ってしまったと思います。

通常、正常運転できている限りにおいてはコスト面や環境負荷に対して良い面がある原発ですが、一度、事故を起こすと取り返しがつかなくなる、からです。

本書を読んで、さらにその思いを強くしました。

ですが、福島第一原発事故は実際に起こってしまった。

どうしようもない事実ですが、直視しなければいけません。

本書が多くに人に読まれ、福島第一原発で起きていること、避難者の実態、政府・東電の嘘っぱちなど、事実を知ってほしいと思います。

事故から15年経過していますが、原発事故は終わっていません。